これも意外と知られていませんが、公立学校の先生の給与は、国の経済事情や世論を反映して変動します。公務員(公立学校の先生も公務員です)は収入が安定しているという認識は誰もがお持ちだと思いますが、それは給与が変わらないということではありません。一般の企業のように、景気が悪くなれば賃金カットもあるのです。
とはいえ、同じ地方公務員の役所の職員に比べると、先生(教育公務員ともいいます)の給与は高めです。それは、高度成長期の末期に優秀な人材が企業に流れ、「教師にでもなるか」「教師にしかなれない」、いわゆるデモ・シカ教師が増え教師の質の低下が問題視されていたからです。教育界が優秀な人材を獲得するための特別措置でした。しかし、近年ではその措置を見直す動きもあるようです。いずれにせよ、一般の企業のように倒産の心配もなければ、リストラの危険に脅えることもほとんどありません。
では、気になる先生の給与、一体どれくらいなのでしょうか?
公立学校の先生の給与は、国と地方公共団体が折半して支給することになっています。つまり東京都で採用された先生は、国と東京都から給与をもらっているのです。学校の先生も地方公務員ですので、その給与は地方公共団体の条例によって定められています。そのため、都道府県によって給与額に差があります。
例えば東京都の場合、大学卒の初任給は小・中・高等学校勤務で約23万6500円、特別支援学校(盲・聾・養護学校)勤務で約26万8000円です。北海道では、同じ大学卒の場合、小・中・高等学校勤務で約18万5000円、特別支援学勤務で約20万7000円となります。景気が上向き、売り手市場といわれている就職活動。企業の中には、この先生の初任給を上回る会社も少なくありません。
にもかかわらず、財政改革の観点から「先生の給与は高すぎる」と批判を受け、給与の見直しが叫ばれています。忙しい公立学校の先生の給与は、本当に高すぎるのでしょうか?
平成18年、文部科学省は公立学校の先生を対象に「教員勤務実態調査」を行いました。その結果により、改めて学校の先生の忙しさが浮き彫りとなりました。公立学校の先生は、1日約2時間の残業をしており、毎月の残業時間は40時間を越える、というのです。先生には残業代(時間外手当)がありません。一般の企業であれば、月に40時間もサービス残業をさせると大問題になるでしょう。しかし、プライベートの時間を削りこうして遅くまで働く先生たちに対して「給与が高すぎる」と批判が集中するのは、先生に残業代が出ないという事実がほとんど知られていないからかもしれません。
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